アパート=節税は本当か?最新税制から考える相続対策不動産相続・相談コラム | 吉川・三郷エリアの不動産ならピタットハウス吉川店-株式会社アクシア-
アパート=節税は本当か?最新税制から考える相続対策
相続を控える地主や不動産オーナーの方々から、今もよく耳にする言葉があります。
「土地にアパートを建てれば相続税が安くなる」
「貸家にしておけば評価額が下がるから安心」
確かに、かつては相続税の節税手法として「アパート建築」は王道とされてきました。
しかし結論から言えば、この考え方は今の税制では必ずしも正解ではないのです。むしろ、状況によっては「相続税が下がらない」「収支が赤字になる」「家族が揉める原因になる」といったリスクすら抱えています。今回は、最新の税制を踏まえながら、この「アパート=節税」の常識を見直してみましょう。
1. なぜ「アパート建築=節税」が広まったのか?
まず、この考え方が生まれた背景を整理しましょう。
相続税の計算においては、土地や建物は「時価」ではなく「評価額」で算定されます。特に賃貸用不動産の場合は、以下のような評価減が働きます。
- 貸家建付地の評価減:自宅用地よりも低く評価される
- 建物の貸家評価:賃貸していることで評価額が下がる
この仕組みを利用し、「土地にアパートを建てて貸家にすれば、相続税評価額が大きく下がる」という手法が広まったのです。バブル崩壊後の低金利時代、不動産業者が積極的に提案したことも追い風となりました。
2. しかし税制改正で効果は限定的に
ところが、この「節税効果」は年々縮小しています。
国税庁は「過度な節税」を抑制するため、アパート建築による評価減を厳しく制限してきました。
- 貸家建付地の評価減率は限定的で、相続税の大幅減にはつながりにくい
- 相続税評価額と実勢価格の乖離が縮小し、節税メリットが薄い
- 金融機関の融資基準も厳格化され、アパート建築のハードルが高まっている。自己資金が必要な割合が増えている。
つまり「建てれば下がる」という単純な図式は、もはや通用しなくなっているのです。
3. アパート建築で逆に相続税が高くなるケースも?
注意すべきは、場合によっては節税どころか税負担が増えることです。
例えば、
- 建築費を借入で賄い、土地にアパートを新築
- 相続税評価額は下がったが、借入金を上回る資産が残る
- 結果として、純資産ベースで相続税額がむしろ増加
こうした事例は実際に発生しています。特に、物件価格や借入額が大きい都市部の地主ほど、影響を受けやすいのです。
4. 「負動産」になるリスク
さらに深刻なのが、相続人にとってアパートが「負担の不動産(負動産)」になるケースです。
- 築15〜30年を過ぎると設備交換などの修繕費が増加
- 少子高齢化、ニーズの誤りによって将来空室が増え、収支が赤字化
- 建物と設備の減価償却費の年数が切れて、所得税が増額
- 相続人が「現金を残してくれた方がよかった」と感じる
親世代は「子どものために残すつもり」でも、子どもから見れば「引き継ぎたくない不動産」になりかねません。
5. 家族間トラブルの温床にも
不動産は「分けにくい資産」であることから、相続でもめる原因になります。
- 長男がアパートを相続、次男は現金を相続 → 金額差で揉める
- 兄弟が共同でアパートを相続 → 修繕費や管理方針で対立
- 売却を望む相続人と、保有を望む相続人が対立
せっかく節税を狙って残した不動産が、家族の争いを引き起こす種になってしまうのです。
6. 正しい相続対策とは?
では、どうすればよいのでしょうか。
- アパート建築以外の方法を検討する
- 生前贈与、小規模宅地特例の活用、法人化なども有効な手段です。
- 相続人の生活設計を踏まえて考える
- 「誰が管理するのか」「賃貸経営を続ける意思があるのか」を事前に確認することが大切です。
- 専門家のチームで対策を練る
- 相続税に強い税理士
- 登記や権利関係に詳しい司法書士
- 不動産市場に精通した専門家
この3者の知識を組み合わせることで、最適な相続対策が見えてきます。
まとめ
「土地にアパートを建てれば安心」という時代は、すでに終わりを迎えています。
相続税対策は「節税」だけを目的にしてはいけません。むしろ大切なのは、家族が安心して財産を引き継ぎ、トラブルなく管理できることです。
これからの相続対策は、アパート建築だけに頼らず、
- 資産全体のバランスを考える
- 相続人の意思を確認する
- 専門家の知恵を借りる
こうした視点を持つことが欠かせません。
資産を「残すこと」よりも「活かすこと」に重点を置き、正しい相続対策を進めていきましょう。
店舗紹介

ピタットハウス吉川店埼玉県吉川市保1-29-9
TEL : 0120-900-748
FAX : 048-940-1712(賃貸)
048-940-1705(売買)
営業時間 : 9:00~19:00
定休日 : 水曜日
草加市・越谷市の不動産は
当社までお任せください。
草加市・越谷市・吉川市・三郷市エリアの不動産に
関して売却・購入ともにご対応可能です。
まずはお気軽にご相談ください。
